不退の信心をもて
「此れを知れる者、但日蓮一人なり」(開目抄:200[9行目])というお言葉があります。一体、大聖人様ただお一人お知りになったことは何か…。これは御書全集の200ページの中にある一句でありますが、この言葉にあいました時に、私は考えた。「はて、何を大聖人様お一人がご承知なのだろうか」と。
ところが、ことばは短いけれども、これが胸のうちにじんときたときには、恐ろしくなってくる。それは、あらゆる邪宗邪義が、人生を不幸にし、人々の幸福を奪っているのだということなのです。しこうして、日蓮大聖人様の仏法以外のものは全部邪宗邪義です。しかも、大聖人様の仏法が、正しく、強く七百年間守られてきたのは、富士大石寺、日蓮正宗なのであります。
かく感じてくるならば、広宣流布への途上は、あらゆる宗派を敵にしなければならない。われわれには妥協がないのです。ほかの日蓮宗と妥協したらよかろう、日蓮宗ならいいではないかという。だめです!民衆を不幸にする他の宗教団体は、断然敵にするしかないではないか。今後、広宣流布までは、いろいろの難も起こるでありましょうが、絶対無二なる大御本尊様を、皆様は信じて、絶対に退転してはなりません!
そうして、幸福な人生を必ずつかみ、幸福に暮らしなさい。これが私の願いであり、警告です。
於東京・両国の国技館(昭和29年11月3日)
(戸田城聖全集第4巻・講演編(pp. 220-221))